4ページ 1 心のバリアフリー とは かっこ1 心のバリアについて  高齢の人や障害のある人、乳幼児を連れた人、外国人など、誰もがまちの中で円滑に移動 でき、必要な情報を入手できるようにするためには、どのようなことが必要でしょうか。  エレベーターや視覚障害者誘導用ブロック ※C の整備などのハード面のまちづくりや、 点字や音声、手話、多言語による情報提供とうの情報面でのバリアフリーのほか、人々の心のバリアの解消が必要です。  皆さんは、心のバリアについて考えたことがありますか。  心のバリアとはどのようなものか、まちの中における次のような場面で考えてみましょう。 写真 エレベーターの写真 音響信号機の写真 手話でコミュニケーションをとっている写真 誘導ブロックとエスコートゾーンの写真 5ページ 場面1 聴覚障害のある人や外国人とうが車内放送のアナウンスが分からない イラスト 鉄道が駅に停車して、車内に 事故が発生したため、しばらく停車します と 日本語のア ナウンスが流れています。 車内の人たちは、急いで他の路線へ移動していますが、聴覚障害のある人や外国人、ヘルプ マークを付けている知的障害のある人は、アナウンスがわからないため、何が起きているの かわかりません。 説明 まちの中には様々な人がいます 聴覚障害のある人がいることに気付かず、アナウンスだけで情報を伝えていることでバリア が生まれています。 アナウンスを十分に理解できない外国人や知的障害のある人とうにも情報のバリアが生まれています。 周囲の人も、情報を得られずに困っている人がいることに気付いていません。 様々な人がいることに気付くことが、バリアの解消のために必要です。 6ページ 場面2 視覚障害のある人がまちの中で迷っている イラスト まちなかで、白杖を使用している視覚障害のある人が 点字ブロックはどこかしら と思い ながら歩いています。 その様子に気づいた人が 大丈夫ですか と声をかけ、 点字ブロックはこっちですよ と言って、いきなり腕をひっぱり、無理やり誘導しようとして、視覚障害のある人は、 だれ いきなり腕を引っ張らないで と困惑しています。 説明 求めている手助けの内容も様々です 困っている人に対して、手助けしようという気持ちは重要ですが、本人の意向を確認せず、 行動することは、かえって本人に迷惑や負担をかけ、心のバリアを作り出すことになります。 体や白杖 ※D をいきなり触ったり、引っ張ったり、また、体の向きを変えられると、視 覚障害のある人はとても驚きます。あなたが見知らぬ人から体を突然触られたら、どのように感じるでしょうか。 声かけなどにより、相手の意向を確認し、どのような支援や配慮が必要か正しく理解することが重要です。 7ページ 場面3 混雑していて、車いす使用者とうがエレベーターを利用できない イラスト 混雑している駅のホームのエレベーターに行列ができています。 車いす使用者やベビーカーを利用する人、妊婦がなかなかエレベーターに乗れずにいます。 その人たちに対して 混雑している時間に車いすで利用するな とどなる人や、邪魔だなあ と思って、黙っている人などがいます。 説明 あなたの意識や行動はどうでしょうか 障害のある人や乳幼児づれの人も、通勤時間帯などの混雑時に移動することがあります。 車いす使用者やベビーカーを利用している人に対して理解のない言葉や態度を示す人、また、 それを見過ごしている人々により、円滑に移動するためのバリアが生まれています。 すべての人が平等に社会参加できるよう配慮したり、自分自身の意識や行動が適切であるか、 常に見直すことが必要です。 8ページ 意識と行動でバリアをなくしていく 様々な人々の立場を理解しようとせず、適切な行動を行わないことで、円滑な移動や情報入 手とうが困難になり、平等な社会参加の機会が確保されず、差別を受ける人がいます。 私たちがそのことに気付くことが、心のバリアフリーの第一歩です。 障害のある人は、常に支援が必要だと思っていないでしょうか。また、いつも支援を受ける 側であり、支援をする側にはならないと思っていないでしょうか。 意識の中にこうした偏見や思い込みがあることで、人々の行動やまちの環境にバリアが作り出されます。 バリアをなくすためには、私たちの意識を改め、そのことを行動で示すことが必要です。 すべての人が平等に社会参加できる社会や環境について考え、そのために必要な行動を続けることが心のバリアフリーです。 ユニバーサルデザイン2ゼロ2ゼロ 行動計画 ※E における心のバリアフリー@ 共生社会に向けた基本的考え方 過去において、障害のある人が受けてきた差別、虐待、隔離、暴力、特別視は共生社会にお いてはあってはならないものである。また、障害のある人はかわいそうであり、一方的に助 けられるべき存在といったステレオタイプの理解も誤りである。 障害のある人もない人も基本的人権を享有し、スポーツ活動や文化活動を含め社会生活を営 む存在である。障害の有無にかかわらず、すべての人が助け合い、共に生きていく社会を実 現するということは、人々の生活や心において障害者という区切りがなくなることを意味する。 そのためには、まず、障害者権利条約 ※F の理念を踏まえ、すべての人々が、障害のあ る人に対する差別 かっこ不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供 を行わないよう徹 底していくことが必須である。 その上で、障害は個人の心身機能の障害と社会的障壁の相互作用によって創り出されている ものであり、社会的障壁を取り除くのは社会の責務である、という 障害の社会モデルをす べての人が理解し、それを自らの意識に反映させ、具体的な行動を変えていくことで、社会 全体の人々の心の在り方を変えていくことが重要である。 9ページ かっこ2 社会や環境にあるバリア すべての人が配慮を必要としている 例えば、建物で1階から2階に移動する場合、階段で移動できる人、エレベーターがなければ移動できない人、 荷物が多くてエレベーターが必要な人、エスカレーターを利用する人など、人によって様々なニーズがあります。 手すりがあれば、階段であっても上り下りできる人もいます。 写真 エレベーター、エスカレーター、階段が一か所に集まっている駅の写真  階段があれば、多くの人は2階に行けるかもしれませんが、車いすを使用している人やベビーカーを利用する乳幼児づれの人などは行くことが困難です。  そのことに気付くことが、誰もが暮らしやすい社会につながります。 社会や環境にあるバリアをなくしていく  社会には様々な人がいます。人々の多様性についてお互いを尊重し合い、それぞれの人に 応じた配慮があることに気づき、対応することで、円滑な移動や施設利用、情報の入手が可能になり、社会参加することができます。  障害のあることがバリアなのではなく、障害のある人を含めたすべての人に配慮していない社会や環境にバリアがあります。社会や環境にあるバリアをなくしていくことが重要です。