ユニバーサルデザインのトイレづくりとは?
まちのバリアフリー化が進み、多様な特性を持つ人が様々な公共的施設を利用している今、私たちの生活に欠かせないトイレについても、全ての人が、より利用しやすいトイレとなるように整備や管理を行うことが重要です。
これまでのトイレ整備と課題
これまで、多様な特性を持つ人が利用できるトイレとして、次のような設備や機能(車椅子使用者対応トイレ、乳幼児用設備、オストメイト用設備)が集約された、「多機能トイレ」が多く設置されてきました。
※多様な特性とは、高齢の人、車椅子や杖を使っている人、介助・同伴の必要な人、乳幼児を連れた人、人工膀胱・人工肛門を保有している人(オストメイト)、性的マイノリティなどのことを言います
車椅子使用者対応トイレ
(車椅子使用者用便房)
車椅子を回転できる広いスペースがあり、便器に移乗するための手すりなど車椅子使用者が円滑に利用するための設備を設けたトイレ
乳幼児用設備
ベビーチェア、おむつ交換台(ベビーベッド)など乳幼児を連れた人が使用するための設備のこと
- ・ベビーチェア:トイレを利用している間、乳幼児をそばに座らせておくことができる
- ・おむつ交換台:乳幼児のおむつ替えに使用することができる
(JIS 規格の案内用図記号では、「おむつ交換台」と表記される)
オストメイト用設備(水栓器具)
主にオストメイト※が、パウチ(排泄物をためておく袋)や汚れた物、しびん等を洗浄するために使用する汚物流し(洗浄装置・水栓を含む)のこと
※人工膀胱・人工肛門を保有しているオストメイトは、便や尿を体外に出すためにストーマ(排泄口)を造設しており、パウチを体に装着する必要がある。パウチの排泄物を汚物流しや便器に捨てたり、パウチの交換時や漏れなどのトラブルの際には温水の洗浄装置で腹部を洗浄する場合がある
高齢者や障害者等が外出の際に必要なために各施設への設置要望が多い「介助用ベッド」、異性による介助・同伴を必要とする人やトランスジェンダー等で男女別のトイレが使いにくい人から設置を求める声の多い「男女共用トイレ」など、これまであまり表面に出てこなかったニーズにも対応できるトイレが求められています。
介助用ベッド
おむつ交換台が使えない年齢の子供から大人まで、ベッド上での着替えやおむつ交換、自己導尿等による排泄のために使用することが多い大型のベッドのこと
(JIS 規格の案内用図記号では、「介助用ベッド」と表記される)
男女共用トイレ
知的・発達障害者や認知症高齢者等の異性による介助・同伴が必要な人やトランスジェンダー※などで男女別のトイレを利用しにくい人からのニーズに応えるためにも、男女共用で利用が可能なトイレを車椅子使用者対応トイレとは別に設置することが求められている
- ※性的マイノリティのうち、出生時の戸籍や出生届の性別(出生時に割り当てられた性別)と性自認(自分の性別についての認識)が異なる人
- ※トイレ内のカーテンで仕切られたところ等に待機するスペースがあれば、落ち着いて介助者や同伴者を待つことができる
多様なニーズに配慮し、全ての人がストレスなくトイレを利用できるよう、トイレ全体でユニバーサルデザイン※を進めることが求められています。
※年齢、性別、国籍、個人の能力にかかわらず、はじめからできるだけ多くの人が利用可能なように都市や生活環境をデザインすること
東京都は、
今後、利用者がニーズに合うトイレを
トイレスペース全体の中から
選択できるよう
「選びましょう
自分にあったトイレ
みんなのために」
という呼びかけを広く行うことにより、
全ての人が安心してトイレを利用できる
社会を目指していきます。
多様な利用者のニーズに配慮した
ユニバーサルデザインの
トイレづくりハンドブック
トイレは、全ての人の生活の中で身近な設備であり、特に高齢者、障害者、子供等にとって、外出時に利用できるトイレが身近に見当たらないことは、移動する際の大きな制約となるため、全ての人が利用しやすいトイレづくりが求められています。
このハンドブックは、
- 公共施設、公園、商業施設、鉄道駅等の各施設におけるトイレの設計・整備や管理の担当者に向けて
- 多様なニーズを持つ高齢者、障害者、子供を含めた全ての人がストレスなく利用できるトイレ環境を実現するために
- トイレ利用の困りごとを解消する事例を紹介することで、様々な施設での自発的な取組を促すこと
を目的に作成しました。